昔、ヒマラヤ山のふもとにひとりの徳の高い仙人が住んでいた。仙人を慕って各地から集まってきた五百人の修行者たちは、この近くの岩場で日夜修行に励んでいた。
ある時、この地方はひどい日照りに見舞われ、すべての川が干上がって辺り一帯に一滴の水もなくなってしまった。獣たちはひたすら水を求めてさまよったが、どこにも水はなく次々に干からびて死んでいく有様だった。
これを見た修行者のひとりは獣たちの哀れな様子に心を痛め、なんとかこれを救おうとただひとりヒマラヤの奥深くへと入っていった。そして液を多く含んだ木々の林を見つけると、そこへ獣たちを導いた。修行者はまず一本の木を切って筒を作り、その中に木の幹を搾って液を注ぎ入れた。その液を獣たちに次々と与えていったのである。
水に飢えきっていた獣たちは毎日修行者のところへ液をもらいにやってきたので、彼は休む暇もなく樹液を搾り続けた。この様子に獣たちは話し合った。
「あの修行者さまのおかげで、わたしたちはどうにか命をつなぐことができた。けれどもあの方は食事をとる暇さえなくなって、すっかりやせてしまわれた。なんとかしてお礼をしたいものだが、いったいどうすればいいだろう」
獣たちは知恵を出し合った。そして、ようやくあることを思いついたのである。
「これからは、液をもらいたいときには必ず食べ物を持っていくことにしよう」
相談がまとまると、獣たちは早速これを実行に移した。
こうして修行者のもとには次々と食糧が届けられるようになった。木の実や野バラの実など、それらは車に二台半もの量になったのである。五百人の修行者たちはこれを分け合って十分に食べ、修行に専念することができた。仙人はこれを見て、次のようなうたを唱えた。
常に精進 努力をし
飽きることなく 続けるならば
見よ精進の この果報
求めず入る 草木の実
(ジャータカー二四)