インタビュー!
仏教的遊びツール『ジャータカルタ』(以下、『ジャータカルタ』)の絵札とパッケージを描いてくださった「釈迦里呼(しゃかりこ)」さんは、橋本健人さんと橋本りえ子さんご夫婦によるイラストアートユニットです。
今回は「釈迦里呼」さんのおふたりにインタビューしました。
「釈迦里呼」について
本日はよろしくお願い致します。
まずは、「釈迦里呼」さんについて教えてください。
ユニット名から、仏教にゆかりがあると想像するのですが、仏教に関連したデザインをされているんですか?
はい!もともと、ぼくが落書きのようなイラストを書いてSNSにアップしたり、妻はお寺の看板を書いてSNSに投稿したりと、お互いに絵を描いていました。
そうしたなかで今回は、一緒にやってみようかとなりました。
仏教にかかわらず、とは思っているんですが……、仏教テイストが多いでしょうか。りえ子さん、どうでしょう?
そうですね。もともと私は、何も考えずに描くタイプなんです。音楽を聞いて描くとか。
でも、お寺の活動に何か絵やイラストが役に立つかなと思ったときに、月々の法語や看板などを描き始めました。今は行事ごとに絵を描いたり、御講師の先生の似顔絵を描いてハガキにしてお配りしたりしています。
御講師の先生に喜んでいただけたらと思うのと、御門徒さんにも先生のことを知ってもらえたら、覚えてもらえたらと思って取り組んでいます。
もともと絵を描くのがお好きなんですね。
そうですね。もともと好きですね。
『ジャータカルタ』と関わってみて
絵がお好きなおふたりということですが、『ジャータカルタ』の依頼が来たときにはどのような印象を持たれましたか?
えええ、おおお!?ほんとにぃ!?という感じでした(笑)。
でも何より、「できるかな」と思いましたね。依頼されたものを、最低限でもきちんとできるのかなと。
引き受けるかどうかも悩みました。
そうだったのですか!すぐにご快諾いただけたので、ちっとも知りませんでした(汗)すみません(涙)りえ子さんは如何でしたか?
大変そうだなと思いました(笑)。
絵札は46枚と数が多いし、やったことがないことなので。
また、私がどんなふうに関われるのかも、正直わからなかったです。
悩みながら引き受けてくださったこの『ジャータカルタ』のイラストですが、りえこさんのお話の通り、46枚もの大作となっています。実際に描いていくなかでの印象的だったこと、忘れられないことなどはありますか?
りえ子さんには背景を塗ってもらい、僕はキャラクターを描くことにしました。資料でいただいたジャータカ物語を読みながら、構図がぱっと思い浮かぶものから描き始めたんですが中には、構図が全然思いつかないものもあり……。
具体的には、剣の占い師のエピソードですね。どこをどのように描くべきかとなかなか思い浮かばなくて大変でした。最終的には、「こしょー」って描いちゃいました(笑)。
私は、、健人さんの絵がどんどんうまくなっていくのに驚きました。人の動きを描くのも、色使いや色を塗るのも、すごく上手になっていって……。イラストレーターとして成長していくさまを、真横で見せてもらい、「すごいやん!」ってなりました(笑)
本当にお育ていただいたなと思っています。大人になっても人はこんなに成長していけるんだなって、励みにもなりましたね。
たしかに、最後のほうに描いたものと、最初のものとでは変わりましたね。
超初期にサンプルで描いたものとでは、もうテイストが全然違うんです。別の人が描いたかのように。変化を受けて、先のイラストを描き直すこともありました
描き直されたんですか!大変な作業を、本当にありがとうございました(涙)
では反対に、健人さんがりえ子さんの塗りの作業を見て、印象的だったことなどはありますか?
僕は色塗りが苦手なんです。雑だけど臆病で、上手に塗れないんです。
りえ子さんがどういうふうに塗っていくのかなって見ていたら、ガンガンいくんですね(笑)。結構豪快にいく。そして、少しミスしたかなっていうようなところも味にしてしまえるんです。
私は割と、筆が進むタイプですね。本当に細かくしないといけないところは繊細にするけど、それ以外はガッといきたい!(笑)
イラストのなかには、「白い背景」もありますよね。
そうなんです!僕は色の感性に自信が全然ないので、何色がいいかはりえ子さんに聞いていました。白い背景の絵札は、白がいいんじゃないかって、あえて選んだんです。
イラストの見どころ!
どの絵札も、イラストも色合いも本当に素敵です!もし、「特にここを見てほしい!」というところがあればお聞かせください。
2つあって、まず1つ目は、無表情な絵が多いという点です。
色々悩んだのですが、人間も動物も比較的無表情に描きました。目を描くといろんな情報が入ってしまうので、見た人が「登場人物は何を考えているんだろう」と想像しやすいようにしたんです。……本当のところは、目を描く技術がないんですけどね(笑)。
2つ目は、動物が多いという点です。
『ジャータカルタ』は動物がいっぱいです。そして、色々な行動をしています。人間と関わり、普通に話もしています。そこが、ジャータカ物語の良いところの1つだと思いますし、仏教の教えに基づいて、いのちがすべて平等だということを表しているのかもしれません。
動物のひとつひとつの行動も、ポージングも、「何を思っているのかな?」と想像しながら見てもらえたら嬉しいです。
そうそう、人だけでなく、動物のポージングを描くのもどんどん上手になっていったよね。単純な絵だけど物語の内容がちゃんと伝わってくるのも、すごいなと思いました。
そして王様が代表作になりましたね(笑)これから私たち釈迦里呼のなかで、この王様は何かのキャラとして残りそうな予感がしています!。
「わたしの推しの1枚」を選ぶとしたら、どれでしょうか?
わたしは、「き」ですね。絵では1枚を選べなかったので、エピソードでの推しですが。
この物語からは、一面的にではなく、多面的に捉えるということに気付かされます。すごく仏教的だし、子育てしていると本当に実感するんです。
私は親として子どもの一面だけを見てしまうけれど、先輩から「こういう捉え方できるよね」と教えてもらうとその通りだなと。子どもたちにも、いろんな面を見られるようになってほしいとも思っています。
『ジャータカルタ』は、読み札の2次元バーコードからジャータカ物語を読めるようにしているので、そちらも併せて読んでもらえたらいいなと改めて思いました。
本当にそうですね。親子で物語を味わってもらいたいですね。
親も、頭が凝り固まってしまうことはありますよね。そういう時に、物語から違う視点や価値観に気付かされることがあると、子どもと一緒に考えられるかもしれません。
健人さんの推しの1枚も教えてください。
僕は「ぬ」が好きです。
調子乗りなんですよ、この人間(笑)。僕も調子乗りだから、すごく共感してしまうんですよね。うまく物事が進んでいくと思ったら、全部ひっくり返されちゃって。バカだなーって思っちゃいます(笑)。
そういう楽しさも、みなさんに伝えられたらと思います。
実際に遊んで、絵札や読み札、ジャータカ物語に触れていくなかで、「この札は取りたい!」という推し札をそれぞれに持っていただけたら嬉しいですねっ。
たしかに!子どもたちの「推し札」も聞いてみたいですね!
仏さまの教えについて
仏教(仏さまの教え)についてもお尋ねさせてください。
おふたりにとって、教えのここがいい、ここがあったかいといったところがあれば教えてください。
「袖触れ合うも多生の縁」という言葉がすごく好きで、「ご縁」っていい言葉だなと思っています。小さい頃から「ご縁だね」っていうのが口癖で、「おばあちゃんみたいね」って言われていました(笑)。
いまの時代って、すごく仲が良かったのに、ふとしたことで縁を切ってしまったり、ちょっとしたことで人を見る目が変わってしまったり、そんな世の中のような気がします。
子どもが学校から帰ってきてだれかに叩かれたと言うと、その子とは違うクラスになったらいいなと思ってしまいます。
けれど、縁があってであった人を自分自身の都合で排除してしまったり、でもそれは違うよなぁって思ったり。行ったり来たりすることを仏教から学んだように思います。
人との繋がりを、ご縁でであっているのだと、大切にしないとと思います。仏さまの教えに触れるということは、疑問を感じていけるようになったり、やわらかくなったりちょっとゆるんだり……という印象があります。
ジャータカのエピソードには、ヘマをして失敗してしくじっているエピソードが多いんです。けれど、周りのみんながそれを優しく受け止めてくれるんです。
りえ子さんの話のように、僕たちは日常の中で「ご縁」ということをなかなか感じられなくて、人との繋がりをスパっと切ってしまうような心を持っています。失敗したり、調子に乗ったり、しくじったりする僕たちで、人と人だとスパッと繋がりが切れてしまうこともあるかもしれません。でも、仏さまはそんな僕たちのことを知っていて、優しく包み込んでくださる。だからジャータの物語でも、みんな結構優しく受け止めてくれるのかなと感じています。
仏さまの教えに触れると、安心して調子に乗ってしくじって失敗できるということもあるのかなと思うんです。仏教の教えによって、安心感が生まれるんです。仏さまが「あぁばかだなぁお前は、がんばれよ〜って」言いながら、優しく導いてくれる感じ(笑)。
ただ単に、僕らが僕らのまま、そのままで良いっていうことではなく、「ばかだなぁ」って見守っていてくれる存在があるから、安心できる。そんな風に思います。
「これから」について
仏教界で注目していることや気になっていることもありましたら教えてください。
コロナ禍にYoutubeなどで活躍された人がたくさんおられます。
SNSやネットの世界から、リアルな現場に向かうときに、Youtubeなどで頑張っていたお坊さんたちが何をされるのか。それがとても楽しみです!
描いてみたいことなど、今後の展望をお聞かせください!
カレンダーを描いてみたいと話しています。ですが、僕はあまり目標とかを立てられないタイプで、その場その場で思っていることをしていくので、おっきい野望とか展望はあまりないですね(笑)。
今後の作品も心待ちにしております!ありがとうございました!
ありがとうございました!
皆さん、ぜひ『ジャータカルタ』で遊んでみてください!
ダウンロードはこちらから!
橋本けんとさん・りえ子さんによるアートユニット「釈迦里呼」さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか?
とても明るいお二人で、終始笑いがたえないインタビューとなりました!
改めて、釈迦里呼さん、ありがとうございました!
さて、「ぜひ遊んでください!」とオススメいただいた『ジャータカルタ』は以下よりダウンロードして遊べます!
遊んでいただきながら、「あっ!インタビューの絵だ!」と出会っていただけると幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!