音響&配信担当として関わらせていただきました。イベント全体についてではなく、僕の担当したことの範疇でのまとめを記したいと思います。
環境は、会場の音響システムの基本設計を変更せずに、いわば上乗せでセッティングすることが約束事。その上で広島から持参できる範囲の機材を持ち込んで環境を整えるというミッションでした。
したがって、事前の下見や事前に演者さんの機材や音の出し方のヒアリングをすることが求められます。その上で、現場でのリハーサルでなんとか対応できるかなとドキドキしながら当日に臨みました。
音響担当として心掛けていること
今回のプロジェクトでは、私が配信や音響を担当する上で大切にしていることが浮き彫りになった気がしています。それは、大きく分けて二つの立場で考えること。
- 主催者や演奏者としての立場
- 参加者やお客様としての立場
❶主催者や演奏者としての立場
主催者には「こんなイベントになればいいな!」という意図があることは当然で、【音の面】に関してもそれは当てはまります。会場の雰囲気やセッティングなど目に見える形の場づくりは、意図的に用意されていることがほとんどで、現場でも真っ先に整えられるのが視覚的な部分でしょう。
一方で音の面は、漠然とイメージで考えられているにとどまり、実際はリハーサルやイベントが始まってみてから要望を叶えていくことが多いようです。音楽系のイベントやライブなどは音が重視されますので、事前にイメージされて用意が進められることも多いですが、当日の雰囲気や客入りの如何で変わってしまうので、実際は調整しながらというのはどの種類のイベント・場でも同じことなように思います。
イベントが始まってしまうと視覚的な部分はもう修正できないことが多い反面、音の面は柔軟に変化させることができます。「こんなBGMをかけてほしい」「あの人の声をもっと大きくしてほしい」「マイクをもう一本追加してほしい」など主催者がイベントを良くしようとするアイディアをできる限り叶えることも、音響の任務になります。ですから、走り回ります。
また主催者の意図とは別に、演奏者の意図も存在します。同じ機材を使っていても会場で使用してみると違うような音が出てしまっていたり、やたらとハウリングをしてしまったり、なぜかうまく接続できなかったり。リハーサルではうまくいっても、本番でトラブル発生なんてことはザラにあることなので、その辺りはまさに「ライブ」です。それを承知のうえで、演奏者とコミュニケーションをとって「こんなパフォーマンスをしたい!」という願いをできる限り叶えていくのが、音響の仕事と言えます。
❷参加者やお客様としての立場
①の主催者や演奏者としての立場と同時に、参加者やお客様としての立場があります。
主催者や演奏者が「受け取ってほしい音」を、参加者や演奏者が「受け取りたい音」として要望している場合もあります。一方で「受け取ってほしい音」とは全然違う、むしろ逆の「受け取りたい音」が存在することも確かです。会場どこでも満遍なく同じ音が流れていることはあり得ません。低音が大きく聞こえる場所があったり、高音が耳に付く場所があったり。個人の好みまで話が及ぶと、100人いれば100通りの「受け取りたい音」が存在することになります。
それらを叶えることはできないけれど、できるだけ多くの方が楽しめるように、音の面で場を整えることが音響の仕事になります。小さすぎる音では演奏者の機微が伝わりません。大きすぎる音は人の耳を簡単に壊してしまいます。イベントの始めから終わりまで、結構緊張しているのです。
さいごに
最近は音響と配信を同時に操作することも増えてきました。現場に鳴らす音と配信に流す音は別物で、そのあたりの調整もまだまだうまくいかないことが多いです。私のような一人のアマチュアがやる範囲なので、主催者や演奏者やお客さんを十分に満足してもらうのは難しいのでしょう。それでも一つずつ大切にしながら取り組んでいきたいと思っています。
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