新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、ご法座のあり方は否応なく問われることとなりました。それぞれの寺院が状況を考えながら、ご法座を開催したり中止したりと模索しています。
ここでは、伝道の方法やご法座の意義を問う本質的な議論は別の機会に譲り、ご法座をネット中継・寺院以外の場所からお聴聞できる「ライブ配信」について記します。
またライブ配信のデメリットは、先に述べた本質的な議論の内にあることですので、ここではあえて利点(メリット)のみを並べることとします。
- 密集、密室、密談の状況を避けてお聴聞してもらえる。
- 遠方でもお聴聞してもらえる。
- 自分に合った音量でお聴聞することも可能になる。
- 配信したものを動画で残しておけば、いつでも好きな時にお聴聞してもらえる。
- 環境を整えれば、講師に現地に来てもらわなくてもご法座が開催できる。
ライブ配信の種類
ライブ配信の方法をを2つの形に分類してみました。
❶機器での分類
スマートフォンからの配信
一言でいうと、非常に導入しやすいです。スマートフォンひとつで配信できます。
しかし、できることには限りがあります。
デスクトップ・ラップトップなどのパソコンからの配信
スマートフォンでの配信に比べ、高品質な配信となる等できることが広がります。
しかし、高性能になるほど難しい設定も増え、ハードルも高くなります。
❷サービスやアプリケーション、プラットフォームでの分類
ライブ配信で使用されるサービスやアプリケーション、プラットフォームは多種多様です。配信の見やすさや扱いやすさによって、どれがいいか選ばれています。以下に紹介するものはそうした配信サービスの一部です。
A. YouTube(ユー・チューブ)
導入する人が最も多い無料の動画配信サービスといえるでしょう。
その理由は以下の特徴から伺えます。
●ユーザー登録やアプリケーションのインストールをしなくても視聴可能。
●スマートフォンでもパソコンからでも配信でき、設定をすれば高品質な配信が可能。
●ライブ配信したものを動画として残しておくこと(アーカイブ)が可能。
●「限定公開」という限られた人にしか見ることができないような設定が可能。
B. Facebook(フェイス・ブック)
SNSの代表格。そのつながりを活かしたライブ配信が特徴として挙げられます。
●基本的にFacebook登録者しか視聴することができない。
●Facebook上でイベントの企画、広報、投稿、告知、視聴を一貫してできる。
●ウェブサイトのように運用できる「ページ」が作れ、共通するものを持つ人が集まれる。
●「グループ」での動画配信に対応しているので、興味がある人やFacebookでつながっている人に届きやすい。
C. Instagram(インスタグラム 通称「インスタ」)
スマートフォンからの配信・視聴に特化しています。スマートフォンによる視聴を目指す場合には、良い選択肢かもしれません。
●Instagramに登録していなければ視聴はできない。
●配信する際に、他の人と一緒に配信すること(コラボレーション)ができる。
D. TwitCasting(通称「ツイキャス」)
音楽やラジオのようなライブ配信が楽しめる、ライブ配信専門のサービスです。
TwitterやInstagramなど既存のSNSから登録・連携ができ、特にTwitterとの連携がしやすいです。
●登録していなくても視聴できる。
●基本的に1回の配信は30分以内
E. Zoom(ズーム)
Web会議ツールとして浸透しつつあるzoomでもライブ配信を行えます。
配信する際は視聴希望者にURLを送り、Web会議のように入室してから視聴という流れです。
●視聴する際に登録は必要ないが、アプリケーションが必要。
●3人以上が参加する場合、無料で使えるのは40分間まで。
●統一URLを設定することもできるが、基本的には配信者がその都度URLを発行する。
●視聴者の入室やミュートの操作の管理が必要。
それぞれの方法に得意・不得意な点があります。どの方法をとるか吟味して決めるというよりも、まずは手元にある機器と慣れているサービスで始めてみるというケースが実際には多いようです。
ライブ配信を始めましょう 〜3つのステップ〜
ここからは【デスクトップ・ラップトップなどのパソコン】から【YouTube】を利用して配信を始めるまでの流れを紹介します。スマートフォンからの配信は、動画を撮影するのと同じようなイメージです。基本的に、登録しているアプリケーションを起動して「ライブ配信をする」を選択するだけですので、ここでの紹介は省略させていただきます。スマートフォンからの配信やFacebook・ツイキャスからの配信を目指す場合は、個別にご相談ください。
ライブ配信をする際の3つのステップ(難易度別)を提案したいと思います。もちろん【3rd Step】からはじめても問題ありません♪
1st Step
内蔵カメラ(ウェブカメラ)があるノートパソコンで、YouTubeの「ライブ配信」➡︎「ウェブカメラ」の設定のもと配信する。
2nd Step
デスクトップ/ラップトップのパソコンに、カメラとマイクを接続する。
3rd Step
カメラとマイクを外部接続したパソコンで、無料配信ソフトウェア(OBS Studio)を使用して、YouTubeの「ライブ配信」➡︎「エンコーダー配信」で配信する。
【1st Step】ウェブカメラで配信する(準備編)
用意するもの・こと
❶インターネットの回線
ライブ配信をするには、インターネットに接続することが必須になります。
おおまかな接続の段階としては、
- プロバイダーとの契約
- ルーターの設置
- 有線やwifiで使用する機器(パソコンやスマートフォン)との接続
という流れになります。
また、携帯電話回線を使ってパソコンをインターネットに接続する方法あります。これは一般的に「デザリング」と呼ばれ、屋外等でインターネットを使いたい場合に用いられます。
ライブ配信では安定した回線で配信するということが非常に重要です。「wifi(無線LAN)で接続しているけど、途切れがち」ならば有線での接続をおすすめします。またインターネット回線自体が不安定で、携帯電話回線が安定しているならば携帯電話回線を使用して(デザリングをして)配信するのも有効です。
ただしデザリングの際に注意していただきたいのは、携帯電話の回線を使用すると通信量がとても多くなるという点です。月間の通信量の上限がが4ギガや5ギガでは、ライブ配信はできても月末に通信制限がかかって日常生活に支障をきたすかもしれません。携帯電話の回線を使用する場合は、契約プランを確認しておきましょう。
❷YouTubeにログインし、YouTubeにアクセスする
YouTubeを通してライブ配信する場合は、YouTubeにログインする必要があり、YouTubeにログインするには、Googleアカウントを作成する必要があります。
なお、Googleアカウントを使用すると、YouTubeのさまざまな機能が利用できるようになります。
⬇︎YouTubeヘルプ⬇︎ (アカウントの作成や管理について参照してください)
https://support.google.com/youtube
●YouTubeにログインする
- Webブラウザで https://www.youtube.com/ にアクセスする。
- 画面右上の[ログイン]をクリックする。
- Googleアカウントでログインする。
●YouTube Studioにアクセスする(ライブ配信を有効にする)
- ページ右上の[プロフィール画像(アイコン)]をクリックし、
[YouTube Studio]をクリックする。 - YouTube Studioのダッシュボード画面が表示されます。
- ライブ配信をするためには、当該アカウント(チャンネル)がライブ配信用のアカウントとして有効である必要があります。
有効にするためにはまず、YouTube Studio のダッシュボード画面右上に下図のようなマークがあるのでクリックします。
- 画面の表示に従って、電話でアカウントの確認をする。
※既にライブ配信用のアカウントとして有効な場合は表示されません。 - ライブ配信用のアカウントが有効になるのを待つ(24時間程度かかります)。
※次回から YouTube Studio に直接アクセスできると便利なので、YouTube Studioのダッシュボード画面でブックマークなどをしておきます。
❸内蔵カメラ(ウェブカメラ)を搭載・または外付けしているノートパソコン
パソコンに内蔵カメラ(ウェブカメラ)が搭載されているか確認しましょう。
多くのパソコンには下の画像のようなカメラが搭載されています。
動作の確認の方法は、パソコンのカメラを起動するアプリケーションなどを使って確認しましょう。Zoomなどのリモートの会議(Web会議)でご自身の姿を映し出すことができていれば、大丈夫です。
※外部カメラを使用しての配信は【2nd Step】で紹介します。
【1st Step】ウェブカメラで配信する(配信編)
用意するもの・ことが整えば、実際に配信することができます。
実際の配信の手順
❶配信する会場(本堂など)にパソコンを設置
- 電源の確保:配信中にバッテリーの低下やシャットダウンしてしまうことを避けるため、 電源を確保できるようにしておきましょう。
- インターネットに有線で接続する場合:LANケーブルなどを使って有線で接続する場合、十分な長さを確保し誤ってひっかからないように安全性も確認しておきましょう。
❸映像と音声をチェック
どのような画を映したいか・どのような音声を配信したいかチェックします。
- 映したいもの/映したくないものを確認します。
- 講師の動きや板書もチェックします。
- 会場の音響設備を実際に起動して、ライブ配信への音声の入力具合を確認します。
テストを重ね本番に挑んでください。「トライ&エラー」で進めていただければと思います。
●2ページ‥‥カメラとマイクを外部接続
●3ページ‥‥OBSを使用して配信